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北海道の先住民族から生まれた文化。アイヌ文様が美しい伝統工芸品の数々

2013年3月、「二風谷イタ」と「二風谷アットゥシ」が、北海道で初めて伝統工芸品に指定されました。北海道や東北地方の先住民族であるアイヌの人々が生んだ工芸品です。言葉や音楽、刺青などに代表される、特徴ある独自の高い文化を育んだアイヌ。その中でも『アイヌ文様』は、アイヌの人々の生活の根底深くに流れています。少しずつ姿を変えつつ、現在も継承されるアイヌ文様の施された雑貨の数々をご紹介します。

アイヌの美しい模様

アイヌ文様の美しい着物。
アイヌ文様は、鎖やとげなどをイメージしていると言われています。
布を半分に折って折り目をつけ、その折り目に糸で目印をつけるといったことを繰り返し、その目印をつないで模様をつくります。
複雑な線で構成されていますが、実は下書きなく作られたパターンです! ルウンペ、チヂリ、カパラミプと呼ばれる様々な刺しゅうの手法があり、その模様の作り方は母から子へ、子から孫へ口伝で伝えられていきました。

アイヌ文様のファッション

アイヌの考えでは、服のすそやそでなどの開口部分から、魔物や病気が入ってくるとされていました。
よって、それを避けるため衣服のすそに鎖やとげなどの文様を「魔よけ」として施していたと言われています。
また、身体の中に直接悪い物が入らないように口元にも刺青で模様を入れていました。
口元の刺青は、女性が結婚するための条件でもあります。
アイヌ・イタㇰと呼ばれる独自の言葉を使い、文字を持たない文化でもあったアイヌ。
方法が記述されないことにより、地域や時代によって、柄や衣服のかたちも様々な変化を遂げていきました。

アイヌ文様の生活道具

日常品や、儀式に使う品々にもアイヌ文様が施されました。
複雑な模様の入ったアイヌ民族に伝わる万能ナイフ「マキリ」。
『間切り』『魔切り』『魔斬り』など、いろいろな文字で表されます。
漁師や職人が、イカや魚をさばいたりするのに使われる小刀のことも「マキリ」と呼び、鮭を大事な食料としていたアイヌの人々に通ずるものがありますね。
マキリには複雑な動物の厄よけのモチーフが刻まれ、アイヌ独特の文化でもある刺青を入れる時に使われました。

アイヌ文様が紹介された動画

アイヌ文様にフォーカスした、アイヌの文化がわかりやすく短めに紹介されている動画です!

細かな模様の意味

模様にはそれぞれ意味があり、その役割を果たすよう正しく配置しなければなりません。
例えば、渦巻きの模様はアイヌ語で「モレウ」と読み、「静かに回る」という意味があります。
これは、悪い神様が寄ってきても目を回して、体の中に入らないように守ってくれると考えられています。
またトゲの模様は、トゲは痛いから悪い神様が入ってこないという意味があります。

アイヌの人々について

「アイヌ」とは、アイヌ語で「人間」を意味する言葉。
北海道・樺太・千島列島、ロシア・カムチャツカ半島南部にまたがる地域の先住民族です。
植物・動物・さらには無生物を含むすべての自然現象は、精神的な本質を持っていると考えられ、自然に寄り添う生活を送っていました。
また、狩猟採集と交易を得意とした民族でもあり、本州やオホーツク海の人々と物々交換して、足りないものは交易で補いながら暮らしていました。
アイヌの祖先は北海道在住の縄文人。
最近のDNA鑑定では、アイヌが12,000年前には早くも日本に住んでいた古代縄文人の直接の子孫で​​あることが示唆されています。
現在の日本人は、もともと日本に住んでいた日本人と渡来人との混血によって生じたもので、九州や本州では両者の混血が進みましたが、北海道と沖縄では縄文人の系統が比較的純粋な形で残り、彫りの深い目鼻立ちや濃い体毛、頬骨の張り出し方が強いなどの身体的な特徴があります。

模様が施されたお盆『二風谷イタ』

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CRASIA編集部